今回は、緑内障や眼圧が高い患者さんに処方される点眼薬の一つ、β遮断薬を含む点眼剤(コソプト点眼液、ミケラン点眼、ミケランLA点眼、ザラカム点眼液、デュオトラバ点眼液、アゾルガ点眼液、チモプトール点眼液、チモプトールXE点眼液など)を使用する際の注意点について説明したいと思います。
β遮断薬が入っている点眼剤(配合剤を含む)の添付文書には上記のような記載があり、喘息の患者さんや重篤な心疾患のある患者さんには禁忌となっています。
また、β遮断を含む点眼剤(チモロールマレイン酸含有製剤)の添付文書の相互作用(併用注意)の欄には下記のような記載があります。
特にカルシウム拮抗剤のベラパミル、ジルチアゼムやジギタリス製剤は臨床症状として房室伝導障害、左心室不全、房室ブロック等が現れるおそれがあると記載されているため、注意が必要です。
そこで、β遮断薬が入っている点眼剤(配合剤を含む)が処方された場合、当薬局では薬歴やお薬手帳で以下の確認をしています。
喘息とβ遮断薬を含む点眼剤について
死亡*: 情報不足により被疑薬と死亡との因果関係が評価できないもの
上記はPMDAに載っていた、β遮断薬を含む点眼剤の喘息の副作用に関するデータです。因果関係は評価できないとされていますが3例死亡が報告されていて3例とも原疾患に喘息がありました。
また、原疾患に喘息のない患者さんでも喘息の副作用が報告されています。そこで、当薬局では、処方開始時に喘息がない場合でも、β遮断薬を含む点眼剤継続中に咳が出やすくなっていないかなどを確認するようにしています。
お薬手帳などから喘息や心疾患(心不全や徐脈、相互作用)があることが分かった場合
①β遮断薬を含む点眼剤が初めて処方される場合
・喘息→当薬局ではあらかじめ処方元医療機関との取り決めにより、喘息治療中の患者さんに対しては発作誘発の可能性があるので眼科医に必ず疑義照会するようにしています。
・心疾患→症状が悪化する可能性があるので、眼科医に必ず疑義照会します。
②β遮断薬を含む点眼剤を使用中の患者の場合
・喘息→①と同様に全例、眼科医に疑義照会します。
・心疾患→心疾患の病状が安定している場合は、心疾患治療薬処方医にβ遮断点眼剤を使用している事を伝えるよう指導します。安定していない場合は、眼科医に疑義照会します。
なお、心疾患治療薬を使用していなくても、脈が50を切る場合は医師に疑義照会をしていますので、もし該当する場合は医師や薬剤師にご相談ください。
目薬しか処方されていなくても…意外と重要な”お薬手帳”
当薬局では眼科の処方せんをお持ちになる患者さんが多いです。しかし、処方されるお薬が目薬だけのことが多いからか、お薬手帳はあまり使う意味がないと考えている方も多いようです。しかし、今回説明したように、目薬も全身性の副作用が出たり、内服薬との相互作用がある場合があります。お薬手帳を通して、喘息や心疾患の情報を知ることができ、それによってより安全に使用できる薬へ、点眼薬の処方が変わる可能性もあります。
目薬だけでも…ぜひ、お薬手帳はご提示ください(*^^*)!!!