眼瞼痙攣と薬
先日、“眼科領域で主に使用される漢方薬”について投稿いたしましたが、“眼瞼痙攣”に使用する漢方薬が多いのですが、この病気についてご存じですか?あまり聞きなれない病気なので今回はこの“眼瞼痙攣”という目の病気について説明いたします。
これは、自分の意志とは関係なく筋肉に収縮が起こるため、瞬きの制御異常(自分でコントロール出来ない)が起こり、進行していくと眼を開けていられなくなるような病気です。
自覚症状としては
1、瞬目過多
2、開眼困難
3、羞明感(まぶしさ)
4、目の乾燥感
5、目の異物感・眼痛
などがあります。
原因のひとつに抗不安剤や睡眠導入剤の中のベンゾジアゼピン(BZP)系薬剤による薬剤性眼瞼痙攣があります。
脳の中には興奮性の神経伝達系と抑制性の神経伝達系があります。その抑制性の最も代表的なものが中枢性ベンゾジアゼピン(BZP)系と呼ばれるシステムです。
眼瞼痙攣では、このBZPの受容体の密度低下(不足)が見られるので、BZP系薬剤を投与すると、症状を一時的に抑えることが出来ます。しかし、これを与え続けると、体がBZP系の受容体を減らすことで元のバランスに戻そうとするので、やがてBZP受容体は更に不足して、病気の症状が悪化することになります。
眼瞼痙攣でなくても、BZP系薬剤を長く使用することにより眼瞼痙攣を誘発する場合もあります。
BZP系薬剤を中止することによって症状の軽減が期待できます。
その一方で、抗不安薬や睡眠剤を服用する原因になった要因が、眼瞼痙攣をおこしているともいえるようです。患者さんの話をきいていると悲しい出来事があった、ということもあります。
治療はボツリヌス毒素の局所注射が中心です。
補助治療として当薬局では下記の薬剤が処方されています。
- ヒアルロン酸ナトリウム点眼液 、ムコスタUD点眼薬、ジクアス点眼薬: ドライアイの改善
- 抑肝散 : 心理的要因の強い場合 また、BZP系薬剤を離脱する際の補助療法
- 抑肝散加陳皮半夏 : 疼痛、違和感が強い場合
・・・漢方薬について詳細は以前掲載した”眼科領域で
使用される主な漢方薬”をご覧ください!
♦眼瞼痙攣と似ている疾患
また、片側顔面痙攣、ドライアイ、眼部ミオキミア、眼部チック、といった疾患と間違えられやすいため、しっかりとした鑑別が必要です。
正確に診断してもらうためには「神経眼科」を掲げている病医院を受診することが望ましいです。